東京高等裁判所 平成11年(行ケ)427号 判決 2000年12月26日
原告
株式会社シールド
代表者代表取締役
【A】
訴訟代理人弁理士
佐々木功
川村恭子
被告
【B】
訴訟代理人弁理士
杉山泰三
主文
特許庁が平成11年審判第40009号事件について平成11年11月5日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1原告の求めた裁判
主文第1項同旨の判決。
第2事案の概要
1 特許庁における手続の経緯
被告は、名称を「見出装置」とする実用新案登録第3017170号考案(平成7年4月19日登録出願(実願平7-4628号)、平成7年8月9日実用新案登録。本件考案)の実用新案権者であるが、原告は、平成11年6月11日、本件考案について無効審判を請求し、平成11年審判第40009号事件として審理されたが、平成11年11月5日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決があり、その謄本は同年12月1日原告に送達された。
2 本件考案の要旨(「及び」等の表記を公用文の方式に従って統一した。)
見出取付側体1、21の周辺縁の表側面及び裏側面に表裏用細幅帯状片2、3を重ね配してこれ等細幅帯状片2、3の外側縁4、5を上記周辺縁に止着することによって同周辺縁の表・裏側面に見出体取付用レール状部6を形成するとともに上記見出取付側体1、21とは別個に、見出体8を構成し、この見出体8の内側縁に表裏1対の取付脚部形成用片9、10を設けかつこれ等表裏各取付脚部形成用片9、10の外半分を内方に二つ折りとして同外半分を挟み置き片部11、12とし、当該表裏両取付脚部形成用片9、10の間に上記取付レール状部6を挟入しかつ各挟み置き片部11、12を上記細幅帯状片2、3の内側に挟入することによって見出体8を取付用レール状部6に同レール状部6に沿って摺動可能及び着脱可能にして装備したことを特徴とする見出装置。
3 審決の理由の要点
(1) 原告(請求人)の審判における主張
原告は、審判甲第1号証(実公昭40-15850号公報)、審判甲第2号証(実願平5-45958号(実開平7-11373号)のCD-ROM)を提出し、本件考案は、審判甲第1号証又は審判甲第2号証に開示された考案によって、その出願前に公然と知られた考案、又は出願前に頒布された刊行物に記載された考案に該当し、実用新案法3条1項1号及び3号の規定に該当するとともに、審判甲第1号証及び審判甲第2号証に開示された考案に基づいて、その考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、極めて容易に考案をすることができたものと認められるから、実用新案法第3条2項の規定にも該当し、同法37条1項2号の規定に該当し無効とすべきであると主張している。
(2) 審判甲号各証の記載内容
(2)-1 審判甲第1号証(実公昭40-15850号公報)
審判甲第1号証には、
(実用新案登録請求の範囲)
「フォルダー本体1の保持具2下縁と本体1間に所要の間隙3を設けると共にこれとは別個に透明板を折曲して上部に見出紙イの挿入部4を又下方部にスライド部5を有する見出本体ロを構成しスライド部5の下縁6、6′はこれを折返して上記保持具2と本体1間の間隙3に摺動自在に挿入するとともにスライド部5の上端には保持具2上縁との当接部7を設けて成るハンガー式カードフォルダーにおける見出装置。」(実用新案登録請求の範囲)、
「尚図中8は両端に鉤部8′を有する掛止杆、9はフォルダー本体1の上辺に設けた間歇的連続透孔10はこの透孔9に於ける保持具2の相互溶着部、・・・を示す。」(第1欄下1行~第2欄4行)
が記載されている。
また、同号証の第一、二図(本判決別紙審判甲第1号証図面)には、「保持具2は、掛止杆8の挿入部分(第二図参照)と、間隙3を形成する部分とから成り、保持部2の幅方向中央(相互溶着部10に対応する個所)を、フォルダー本体1の周辺縁(第一図のフォルダー本体1の上縁)から内側に入った個所(フォルダー本体1の間歇的連続透孔9の個所)に、止着すること」が記載されている。
(2)-2 審判甲第2号証(実願平5-45958号(実開平7-11373号)のCD-ROM)
審判甲第2号証には、
「仕切り本体1に対しその端縁部に脱着自在でかつその端縁部に沿って移動自在に見出し2を取付けたことを特徴とする見出し付き仕切り。」(実用新案登録請求の範囲)、
「・・・仕切り本体1は透明な矩形のプラスチックシート製であり、上端部を少し裏面側に折り返して重ね合せ、その重ね片3の上縁部と両側の側縁部を高周波により溶着することによって、上辺部に沿って下端を開口した細長い袋部4を設けている(図2参照)。・・・」(【0006】)、
「・・・見出し2は、透明プラスチックシート製で、横長で両端を開口した扁平筒状部5を上縁部に設けて、その扁平筒状部5の内部に紙片6を挿入可能とし、その下側に一対の脚片7、8を設け、更に一方の脚片7の下端部に内側へ折返し可能な掛止片9を設けた構造となっている(図2参照)。」(【0007】)、
「図3に示すように、見出し2を、その2枚の脚片7、8が仕切り本体1を跨ぐように仕切り本体1の上端部に載せて、一方の脚片7に設けた掛止片9を内側へ折り返して仕切り本体1の袋部4へ挿入すれば、図1に示すように、見出し2が仕切り本体1に対し取付けられた状態となる。この状態で見出し2は仕切り本体1の上端部に沿って移動させることができ、任意の個所に位置させることができる。・・・」(【0008】)
が記載されている。
(3) 審判甲第1号証記載の考案との対比判断
(3)-1 対比
本件考案とその出願前に頒布された審判甲第1号証記載の考案とを対比すると、審判甲第1号証記載の考案の「フォルダー本体1」、「見出本体ロ」、「スライド部5」、「下縁6、6′」、は、本件考案の「見出取付側体1、21」、「見出体8」、「取付脚部形成用片9、10」、「挟み置き片部11、12」にそれぞれ相当し、審判甲第1号証記載の考案の「保持具2」は、フォルダー本体1の周辺の表側面及び裏側面に表裏用細幅帯状片を重ね配して見出体取付用レール状部を形成しているから、
両者は、「見出取付側体の周辺の表側面及び裏側面に表裏用細幅帯状片を重ね配して同周辺の表・裏側面に見出体取付用レール状部を形成するとともに上記見出取付側体とは別個に、見出体を構成し、この見出体の内側縁に表裏1対の取付脚部形成用片を設けかつこれ等表裏各取付脚部形成用片の外半分を内方に二つ折りとして同外半分を挟み置き片部とし、当該表裏両取付脚部形成用片の間に上記取付レール状部を挟入しかつ各挟み置き片部を上記細幅帯状片の内側に挟入することによって見出体を取付用レール状部に同レール状部に沿って摺動可能及び着脱可能にして装備した見出装置。」である点で一致し、
本件考案が(a)「細幅帯状片2、3の外側縁4、5を、同(見出取付側体1、21)周辺縁に止着することによって、見出体取付用レール状部6を形成」したのに対し、審判甲第1号証記載の考案はこのような構成を有しない点で相違する。
(3)-2 原告の主張
この点に関し、原告は、
「次に、「細幅帯状片2、3」については、本件実用新案の登録公報6頁3~6行に「綴込袋体1の外周片縁の表側面及び裏側面に透明硬質合成樹脂製フィルムを二つ折りとして得た表裏両面用細幅帯状片2、3を被せて重ね状態としかつこれ等細幅帯状片2、3の外側縁4、5を上記周辺縁に止着することによって同周辺縁の表・裏側面に見出体取付用レール状部6を形成する」と説明されている。
これに対して審判甲第1号証の『保持具2』についてはフォルダー本体1の上辺に、透明合成樹脂板を二つ折りして被せ表側面及び裏側面に重ねて位置させ、同上辺寄りにおいて溶着(止着)10することによって同上辺の表・裏側面に見出体取付用レール状部(フォルダー本体1との間に間隙3が形成されている部分の保持具2に対応)を形成した構成そのものが、第二図に明確に示されている。
したがって、『保持具2』について、部分的に符号を付して説明はしていないが、全体的な構成を見れば「外側縁4、5」及び「見出体取付用レール状部6」に対応する部分を含んでいることは明らかであることから、「細幅帯状片2、3」と『保持具2』とは同一構成のものであると認められる。」
と主張している。
(3)-3 判断
しかしながら、審判甲第1号証記載の考案の「保持具2」は、掛止杆8の挿入部分(第二図参照)と、間隙3を形成する部分とから成り、「保持具2」の幅方向中央(相互溶着部10に対応する個所)を、フォルダー本体1の周辺縁(第一図のフォルダー本体1の上縁)から内側に入った個所(フォルダー本体1の間歇的連続透孔9の個所)に、止着することによって、見出体取付用レール状部を形成」した点で本件考案と相違する。
すなわち、審判甲第1号証記載の考案の「保持具2」は、本件考案の「見出体取付用レール状部6」に対応する部分を含んではいるが、掛止杆8の挿入部分を有するため、「細幅帯状片(保持具2)を見出取付側体(フォルダー本体1)に止着する個所」が、本件考案のように「見出取付側体(フォルダー本体1)の周辺縁」ではなく、「見出取付側体(フォルダー本体1)の周辺縁(第一図のフォルダー本体1の上縁)から内側に入った個所(フォルダー本体1の間歇的連続透孔9の個所)」であり、両者は「細幅帯状片(保持具2)を見出取付側体(フォルダー本体1)に止着する個所」が相違するから、原告の「本件考案の「細幅帯状片2、3」と審判甲第1号証記載の『保持具2』とは同一構成のものである」という主張は理由がない。したがって、本件考案と審判甲第1号証記載の考案とはその構成を異にするものであり、両者は同一ということはできない。
また、審判甲第1号証記載の考案の「細幅帯状片」(保持具2)は、掛止杆8の挿入部分(第二図参照)と、取付け用レール部分(間隙3を形成する部分)とから成り、「細幅帯状片(保持具2)を見出取付側体(フォルダー本体1)に止着する個所」が、「見出取付側体(フォルダー本体1)の周辺縁(第一図のフォルダー本体1の上縁)から内側に入った個所(フォルダー本体1の間歇的連続透孔9の個所)」であり、「細幅帯状片(保持具2)を見出取付側体(フォルダー本体1)に止着する個所」を、審判甲第1号証記載の「見出取付側体(フォルダー本体1)の周辺縁(第一図のフォルダー本体1の上縁)から内側に入った個所(フォルダー本体1の間歇的連続透孔9の個所)」から、本件考案のように「見出取付側体(フォルダー本体1)の周辺縁」に移動させる技術的な動機付けも認められない。
したがって、本件考案は、審判甲第1号証記載の考案であるか又は審判甲第1号証記載の考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものであるとは認められず、実用新案法3条1項1号及び3号、同法3条2項に該当しないから、その実用新案登録を無効にすることができない。
(4) 審判甲第2号証記載の考案との対比判断
(4)-1 対比
本件考案とその出願前に頒布された審判甲第2号証記載の考案とを対比すると、審判甲第2号証記載の考案の「仕切り本体1」、「重ね片3」、「見出し2」、「脚片7,8」、「掛止片9」は、本件考案の「見出取付側体1,21」、「細幅帯状片2又は3」、「見出体8」、「取付脚部形成用片9,10」、「挟み置き片部11又は12」にそれぞれ相当するから、
両者は、「見出取付側体の周辺縁に細幅帯状片を重ね配して同周辺縁に見出体取付用レール状部を形成するとともに上記見出取付側体とは別個に、見出体を構成し、この見出体の内側縁に表裏1対の取付脚部形成用片を設けかつ取付脚部形成用片の外半分を内方に折り同外半分を挟み置き片部とし、当該取付脚部形成用片の間に上記取付レール状部を挟入しかつ挟み置き片部を上記細幅帯状片の内側に挟入することによって見出体を取付用レール状部に同レール状部に沿って摺動可能及び着脱可能にして装備した見出装置。」である点で一致し、両者は次の各点で相違する。
① 本件考案が「見出取付側体1、21の周辺縁の表側面及び裏側面に表裏用細幅帯状片2、3を重ね配してこれ等細幅帯状片2、3の外側縁4、5を上記周辺縁に止着することによって同周辺縁の表・裏側面に見出体取付用レール状部6を形成」したのに対し、審判甲第2号証記載の考案は、「見出取付側体(仕切り本体1)の上端部を裏面側に折り返して重ね合わせ、その重ね片3の上縁部と両側の側縁部を高周波により溶着することによって、一つの見出体取付用レール状部(上辺部に沿って下端を開口した細長い袋部4)」を形成した点(相違点1)。
② 本件考案が「表裏各取付脚部形成用片9、10の外半分を内方に二つ折りとして同外半分を挟み置き片部11、12」としたのに対し、審判甲第2号証記載の考案は、「表裏各取付脚部形成用片(脚片7、8)の一方の外半分を内方に二つ折りとして同外半分を一つの挟み置き片部(掛止片9)」とした点(相違点2)。
(4)-2 原告の主張
相違点1について、原告は、
「両者は、「使用者が任意に見出体の位置を移動できるようにする見出装置」を提供するという解決課題が一致し、そのために、仕切り体を含む見出取付側体の端縁部に,見出体を摺動自在に取り付けるためのレール状部を形成するという技術的思想において一致している。
したがって、見出体を摺動自在に取り付けるためのレール状部を、一方の側に設けるか両方の側に設けるかに考案性はなく、単なる設計的事項でしかない。」と主張している。
また、相違点2について、原告は、
「設計的事項によってレール状部を片面に形成すれば、一方の脚部に掛止片を形成すれば足りるし、レール状部を両面に形成してあれば、両方の脚部に掛止片を形成するのであり、これ等は当業者であれば極く当然のこととして行い得るものである。
したがって、一対の脚部が存在すること及び少なくとも一方の脚部に掛止片が形成されていることは公知であり、それらの脚部に対して一方又は両方に掛止片を形成することは単なる選択的事項にすぎないのであり、本件実用新案登録は、審判甲第2号証に基づいて極めて容易に考案することができたものであり、新規性又は進歩性の全くないものである。」と主張している。
(4)-3 判断
相違点1について
本件考案と審判甲第2号証記載の考案との相違は、見出体取付用レール状部を一方の側に設けるか両方の側に設けるかのみではなく、本件考案が「細幅帯状片2、3の外側縁4、5を、上記(見出取付側体1、21)周辺縁に止着することによって、見出体取付用レール状部を形成」したのに対し、審判甲第2号証記載の考案は「見出取付側体(仕切り本体1)の上端部を裏面側に折り返して重ね合わせ、その重ね片3の上縁部と両側の側縁部を高周波により溶着することによって、一つの見出体取付用レール状部(上辺部に沿って下端を開口した細長い袋部4)」を形成した点で相違する。
すなわち、本件考案が見出取付側体とは別体の細幅帯状片を見出取付側体に止着して見出体取付用レール状部を形成したのに対し、審判甲第2号証記載の考案は見出取付側体(仕切り本体1)の上端部を折り返して重ね合わせて見出体取付用レール状部(上辺部に沿って下端を開口した細長い袋部4)を形成したものであり、見出取付側体(仕切り本体1)と見出体取付用レール状部(上辺部に沿って下端を開口した細長い袋部4)とはもともと一体であってこれらを止着したものではない点でも相違している。
また、両者が上記技術的思想において一致しているとしても、その具体的な解決手段は数多くあり、その具体的な解決手段においても考案性は認められるのであるから、両者の技術的思想において一致するからといって、本件考案が審判甲第2号証記載の考案の単なる設計的事項でしかないという申立人の主張は理由がない。
したがって、相違点1の本件考案に係る構成が審判甲第2号証記載の考案であるとも審判甲第2号証記載の考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたとも認められない。
相違点2について
相違点1の本件考案に係る構成が審判甲第2号証記載の考案であるとも審判甲第2号証記載の考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたとも認められない以上、原告の主張は認められない。
よって、本件考案は、審判甲第2号証記載の考案である又は審判甲第2号証記載の考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものであるとは認められず、実用新案法3条1項1号及び3号、同法3条2項に該当しないから、その実用新案登録を無効にすることができない。
(5) 審判甲第1号証及び審判甲第2号証記載の考案の組合せの判断
(5)-1 対比
本件考案とその出願前に頒布された審判甲第1号証記載の考案とを対比すると、上記(3)-1の項において記載したとおりの一致点を有し、本件考案が(a)「細幅帯状片2、3の外側縁4、5を、同(見出取付側体1、21)周辺縁に止着することによって、見出体取付用レール状部を形成」したのに対し、審判甲第1号証記載の考案はこのような構成を有しない点で相違する。
(5)-2 判断
上記相違点を検討するために、審判甲第2号証をみると、審判甲第2号証記載の考案は、「見出取付側体(仕切り本体1)の上端部を裏面側に折り返して重ね合わせ、その重ね片3の上縁部と両側の側縁部を高周波により溶着することによって、一つの見出体取付用レール状部(上辺部に沿って下端を開口した細長い袋部4)」を形成したものであり、見出取付側体(仕切り本体1)と見出体取付用レール状部(上辺部に沿って下端を開口した細長い袋部4)とはもともと一体であってこれらを止着したものではない。
したがって、本件考案の上記相違点(a)の構成は審判甲第2号証には記載されていないから、審判甲第1号証及び審判甲第2号証記載の考案を組み合わせても本件考案になり得ず、本件考案が審判甲第1号証及び審判甲第2号証記載の考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものとは認められず、実用新案法3条2項に該当しないから、その実用新案登録を無効にすることができない。
(6) 審決のまとめ
以上のとおりであるから、原告が主張する理由及び証拠方法によっては本件考案の実用新案登録を無効とすることはできない。
第3原告主張の審決取消事由
1 審判甲第1号証の技術内容についての認定の誤り及びこれに由来する一致点、相違点の認定の誤り
(1) 審決は、審判甲第1号証の第一、二図に図示された実施例を取り上げて、「保持具2の幅方向中央(相互溶着部10に対応する個所)を、フォルダー本体1の周辺縁(第一図のフォルダー本体1の上縁)から内側に入った個所(フォルダー本体1の間歇的連続透孔9の個所)に、止着することが記載されている。」と認定している。
しかしながら、保持具2をフォルダー本体1に対して取り付ける手段としては溶着であり(止着は溶着、接着、縫着等の上位概念である。)、審判甲第1号証に記載の考案では、保持具2がフォルダー本体1に取り付けられている位置は「フォルダー本体1の周辺縁」であって、その取付けをフォルダー1の周辺縁から内側に入った個所にして溶着しているのである。
審判甲第1号証記載の考案において、見出取付側体に対する保持具2の溶着の位置は、見出取付側体の端縁から内側に入った個所ではあるが、その個所は、見出体取付用レール状部の幅部分の中であるから、見出取付側体(フォルダー本体1)の周辺縁の範躊に含まれる。溶着の位置が内側にずれるからといって、「見出取付側体の周辺縁に見出体取付用レール状部が取り付けられる」という構成に変わりがない。
(2) 他方、本件登録実用新案公報における図2及び図4を参照すれば、止着される細幅帯状片2、3の外側縁4、5は、細幅帯状片2、3の端縁から内側に入った位置で図示されており、厳密な意味での縁ではないことが分かる。
また、本件考案の登録請求の範囲において「同周辺縁の表・裏側面に見出体取付用レール状部6を形成する」としていることから、「周辺縁」というのは、厳密な意味での「端縁」ではなく所定の幅を持った、少なくとも、「見出体取付用レール状部6で覆われている部分」が含まれる範囲までの幅があると認められるべきである。そうでなければ、本件考案の止着に係る周辺縁と、見出体取付用レール状部が形成される周辺縁とが一致しないことになり、ひいては「同周辺縁の表・裏側面に見出体取付用レール状部6を形成する」が成立しないことになり、構成要件として矛盾したものとなるからである。
(3) 以上からすると、本件考案と審判甲第1号証記載の考案との対比につき審決が一致点と認定した構成の記載を正確に表現するならば、「見出取付側体の周辺縁の表側面及び裏側面に表裏用細幅帯状片を重ね配して同周辺縁の表・裏側面に見出体取付用レール状部を形成するとともに上記見出体取付用レール状部とは別個に、見出体を構成し、・・・」となり、本件考案と審判甲第1号証の考案とは、見出取付側体の周辺縁の表・裏側面に見出体取付用レール状部を形成する構成が同じものになっている。
これに対応して、審決は両者の相違点を誤認したものである。
2 審判甲第2号証の引用趣旨の誤り
原告が請求人として審判甲第2号証を審判で引用したのは、
a 見出取付側体の周辺縁に細幅帯状片を重ね配して同周辺縁に見出体取付用レール状部を形成すること、
b 重ね配した細幅帯状片を見出取付側体の周辺縁で溶着(止着)すること、
c 別体の見出体を設けること、
d 見出体取付用レール状部に沿って見出体を任意の位置に移動させることができること、
が公知の技術であることを立証するためのものである。審決は、この趣旨を無視して本件考案の進歩性を肯定したものであって、誤りである。
第4審決取消事由に対する被告の反論
1 審判甲第1号証に関する主張に対して
(1) 審決は、「保持具2の横方向中央」のフォルダー本体1への「止着(溶着)位置」について、これが同フォルダー本体1の周辺縁から内方に入った個所であると事実そのものを示しているもので、原告のいうように「保持具2のフォルダー本体1への「取付け位置」が「同フォルダー本体の周辺縁から内側に入った個所である」などと認定しているのではない。
(2) 本件考案の請求項1には、「帯状片2、3の外側縁4、5を見出取付体側1、21の周辺縁に」と明記されており、この帯状片については、これが「細幅」であることのみを条件とし、その具体的幅員については格別に特定していないから、その幅が極めて細いものから常識的な細幅の範囲内で比較的広いものまで含まれる。
そして、帯状片2、3の幅が極めて細い場合であっても見出体取付レールとしての機能は十分に具現することができ、極めて細い幅ゆえに、見出体取付用レール状部6全体が見出取付側体1、21の周辺縁(上端縁)に収まっており、このような例も本件考案の実施例であることを考えれば、本件考案における「帯状片2、3を止着する見出取付側体1、21の周辺縁」と「見出体取付用レール状部6を形成する見出取付側体1、21の周辺縁」とは、いずれも文字どおり同見出取付側体1、21の周辺縁(上端縁)そのものであって、それ以外の何ものでもない。
(3) 審判甲第1号証記載の見出取付用レール状部の構造において、「横方向の間歇的連続透孔9」の開設位置に関する「フォルダー本体の周辺縁(上縁)から内側に入った個所」という位置の特定を除いて、これを仮に、フォルダー本体1の周辺縁(上縁)に開設したとすると、この透孔9の上方切縁とフォルダー本体の上方端縁との間が著しく狭幅となって強度を失い、このために同フォルダー本体を掛止杆8を用いて吊下保持するなどの用法に供する際にフォルダー本体1の重量を受けて上記の透孔9の上縁が同透孔9内での保持体2の相互止着(溶着)部に強接し、遂にはこの圧力に抗しきれずに同部とフォルダー本体1の上方端縁との間が上記の止着(溶着)部によって切断されてそのフォルダー本体1の吊下保持機能を失うに至るなどのトラブルが発生するおそれがある。
上記の見出取付用レール状部は、このような問題点を視野に入れ、透孔9を「フォルダー本体1の周辺縁(上縁)から内側に入った個所に設ける」と特定することによってこのようなトラブルをクリヤーするものである。
2 審判甲第2号証に関する主張に対して
審決は、審判甲第2号証についても、審判甲第1号証に対する場合と同様にその立証の趣旨を含めて厳密な審理と的確な判断をしており、そこに原告主張の誤りはない。
第5当裁判所の判断
1 本件明細書の記載
甲第2号証によれば、本件考案に関して、本件明細書に考案の詳細な説明として次のとおりの記載があることが認められる。
(1) 【0001】【産業上の利用分野】
本件考案は、ファイル、アルバム、バインダー、ノート、ブック等における頁葉体例えば台紙、頁葉紙、透明フィルム製綴込袋等や、ボックスファイル内の仕切板、バインダーやノートの仕切板に採用する見出装置に関する。
(2) 【0002】【従来の技術】
従来知られているこの種の見出装置は、使用者が任意に見出体の位置を移動させることができないものであって不便であった。
(3) 【0003】【考案が解決しようとする課題】
本件考案は、使用者が任意に見出体の位置を移動できるようにする工夫及びその他の工夫を施した新規の見出装置を提供することを目的とする。
(4) 【0007】【作用】
本件考案は上記のように見出取付側体1、21の周辺縁の表側面及び裏側面に表裏用細幅帯状片2、3を重ね配してこれ等細幅帯状片2、3の外側縁4、5を上記周辺縁に止着することによって同周辺縁の表・裏側面に見出体取付用レール状部6を形成するとともに上記見出取付側体1、21とは別個に、見出体8を構成し、この見出体8の内側縁に表裏1対の取付脚部形成用片9、10を設けかつこれ等表裏各取付脚部形成用片9、10の外半分を内方に二つ折りとして同外半分を挟み置き片部11、12とし、当該表裏両取付脚部形成用片9、10の間に上記取付レール状部6を挟入しかつ各挟み置き片部11、12を上記細幅帯状片2、3の内側に挟入することによって見出体8を取付用レール状部6に同レール状部6に沿って摺動可能及び着脱可能にして装備したことを特徴とするので、見出体8を手指で摺動操作して所望の位置に移動させることが自在であり、また見出体8を取付用レール状部6から外したり同部6に取付けたりする場合には挟み置き片部11、12を細幅帯状片2、3の内側から抜去したり、挟み入れたりすることで可能である。
(5) 【0008】【考案の効果】
本件考案に係わる見出装置は、上記したようにその見出体8をレール状部6に沿って所望の位置に任意に移動できるものであって、他の頁葉体等がもつ見出体と重ならないように位置を変える等の際には極めて便利であり、また本件考案によるときには見出取付側体1、21側と見出体8側とをそれぞれ同じ仕様で多数枚まで得てからこれ等を組み込むことによって見出装置部分を得ることが可能であって極めて製造が容易であるのみならず当該製造の場合には従来知られている見出取付体と見出体とを1体に型抜きで得るようになっている形式のように多数種の見出体の位置違いの型を準備する必要がなく設備費等の低減化を達成できる等の優れた効果を奏するものである。
2 本件考案における周辺縁と止着の箇所の解釈
(1) 本件考案の要旨及び本件明細書の考案の詳細な説明によれば、「見出取付側体1、21の周辺縁の表側面及び裏側面に表裏用細幅帯状片2、3を重ね配して」、「同周辺縁の表・裏側面に見出体取付用レール状部6を形成する」とあるから、見出取付側体1、21の周辺縁の意味は、見出取付側体1、21の端から表裏用細幅帯状片2、3という幅を有する部材が重ね配される範囲であって、止着の結果として表・裏側面に見出体取付用レール状部6が形成される範囲であると認めることができる。
一方、本件考案の要旨及び本件明細書の考案の詳細な説明には「表裏用細幅帯状片2、3を重ね配してこれ等細幅帯状片2、3の外側縁4、5を上記周辺縁に止着することによって」とも記載されているから、表裏用細幅帯状片2、3が重ね配される範囲においてその外側縁4、5が止着されるものであることが認められる。
そして、止着によって見出体取付用レール状部6を形成するものであることからすると、止着個所が見出取付側体1、21の周辺縁(すなわち表裏用細幅帯状片2、3が重ね配される範囲)のどの個所でもよいというものではないが、見出取付側体1、21の端と細幅帯状片2、3の端を当接させて両者をしっかりと止着することは、端であることから一般的に困難であると認められるし、むしろ端からある程度内側に入った個所での止着によっても見出体取付用レール状部6が形成されるとも認めることができる。
(2) このように考えると、本件考案において、止着の個所は、見出取付側体1、21の端ではなく、細幅帯状片2、3の外側縁4、5は細幅帯状片2、3の端からやや内側に入った付近であり、見出取付側体1、21の周辺縁での止着の個所は見出取付側体1、21の端からやや内側に入った付近であると認めるのが相当である。
本件考案の図面の図2、4(別紙本件考案図面参照)によれば、細幅帯状片2、3の外側縁4、5は、細幅帯状片2、3の端からやや内側に入った位置で図示されていること、見出取付側体1、21の周辺縁での止着の個所も見出取付側体1、21の端からやや内側に入った位置で図示されていることが認められ、これも上記認定と整合するものである。
本件明細書に記載の課題、作用、効果によれば、本件考案は、見出取付側体1、2の周辺縁の表・裏側面に見出体取付用レール状部6を設けるとともに、これとは別個の見出体8の脚部を取付用レール状部6に挟入することにより、取付用レール状部6に沿って摺動可能及び着脱可能にしたものと認められ、見出取付側体1、21と細幅帯状片2、3の止着箇所が図2や図4の止着の位置よりも更にある程度内側にずれたからといって、見出取付側体1、2の両側の周辺縁(細幅帯状片2、3が重ね配される範囲)に見出体取付用レール状部6が形成されるのであれば、本件考案の課題等に合致するものと認められる。
そうすると、本件考案における「見出取付側体の周辺縁」とは、その端から細幅帯状片が重ね配される内側部分までを意味するものと解され、見出取付側体の端(上縁)を意味するものと解することはできない。
(3) 被告は、極めて細い細幅帯状片2、3も本件考案の実施例であるとし、極めて細い幅ゆえに、見出体取付用レール状部6全体が見出取付側体1、21の周辺縁(上端縁)に収まっているから、(見出体取付用レール状部6を形成する)見出取付側体1、21の周辺縁とは文字どおり見出取付側体1、21の周辺縁(上端縁)そのものであって、かつそれ以外の何ものでもないと主張する。
しかしながら、本件明細書の上記【産業上の利用分野】の項の記載によれば、本件考案は、台紙、頁葉紙、透明フィルム製綴込袋等や、ボックスファイル内の仕切板、バインダーやノートの仕切板に採用する見出装置に関するものであることが認められ、見出片7や見出体8の大きさとしては常識的な範囲内で決定されるはずであり、そのような常識的な見出体を「極めて細い細幅帯状片2、3によって見出取付側体1、21の上端縁に形成された極めて細い幅の見出体取付用レール状部6」にスライドできる状態で安定的に保持できるものとは認め難い。被告の上記主張は、常識的な見出体を前提とするものではなく、理由がない。
3 審判甲第1号証記載の考案の構成の解釈及び同考案との対比に関する審決の誤り
(1) 審決は、審判甲第1号証記載の考案について、「また、同号証の第一、二図には、「保持具2は、掛止杆8の挿入部分(第二図参照)と、間隙3を形成する部分とから成り、保持具2の幅方向中央(相互溶着部10に対応する個所)を、フォルダー本体1の周辺縁(第一図のフォルダー本体1の上縁)から内側に入った個所(フォルダー本体1の間歇的連続透孔9の個所)に、止着すること」が記載されている。」と認定しており、フォルダー本体1の周辺縁を、第一図のフォルダー本体1の上縁と理解している。
しかしながら、審判甲第1号証の「スライド部5の上端には保持具2上縁との当接部7を設けて成る・・・」との記載(考案の詳細な説明左欄7~8行。甲第4号証)と第一図及び第二図によれば、審判甲第1号証記載の考案において、上記の保持具2の上縁は上端面に相当するものと認められるところ、フォルダー本体1の上縁と保持具2の上縁とを当接させてその近くで止着(溶着)することはできないから(両者の掛止杆8の挿入部分を存在させる必要がある。)、ここにおけるフォルダー1の上縁を、本件考案の前記周辺縁に相当するものと認定することはできず、むしろ甲第4号証によれば、審判甲第1号証には、フォルダー本体の1の上縁ではなく、フォルダー本体1の周辺縁(幅のある保持具2と重なる範囲)の両側に見出体取付用レール状部(保持具2によって形成されている。)を形成した構造の記載があるものと認められる。
(2) 審決は、審判甲第1号証記載の考案について「周辺縁(第一図のフォルダー本体1の上縁)から内側に入った個所に止着すること、」と説示しており、周辺縁が上縁に相当するとの前提に立っているが、この前提とするところは、上記説示に照らして誤りである。
そして、審決は、本件考案と審判甲第1号証記載の考案は、「見出取付側体の周辺の表側面及び裏側面に表裏用細幅帯状片を重ね配して同周辺の表・裏側面に見出体取付用レール状部を形成するとともに・・・」とする点で一致すると認定しつつ、「本件考案が(a)「細幅帯状片2、3の外側縁4、5を、同(見出取付側体1、21)周辺縁に止着することによって、見出体取付用レール状部を形成」したのに対し、甲第1号証記載の考案はこのような構成を有しない点で相違する。」として相違点(a)を認定しており、「周辺」では一致すると認定する一方で「周辺縁」では相違するとしているが、これは、前記のとおり、周辺縁が端(上縁)を意味するとの誤った前提の下にされたものであって、誤りである。
(3) 以上の説示に照らし、審決の説示に即して本件考案と審判甲第1号証記載の考案との一致点を構成し直すと、
一致点は、「見出取付側体の周辺縁の表側面及び裏側面に表裏用細幅帯状片を重ね配して同周辺縁の表・裏側面に見出体取付用レール状部を形成するとともに上記見出体取付用レール状部とは別個に、見出体を構成し、・・・(以下、審決認定の一致点と同じ)」
となる。
そして、相違点は、本件考案が、細幅帯状片2、3の外側縁4、5を、見出取付側体1、21の上縁の付近で止着することによって、見出体取付用レール状部を形成したのに対し、審判甲第1号証記載の考案はこのような構成を有しない点にあるものと認められる。
すなわち、甲第4号証によれば、審判甲第1号証の考案は、「ハンガー式カードホルダーに於ける見出装置」に関するものであり、審決も認定するように、保持具2は、掛止杆8の挿入部分(第二図参照)と取付け用レール部分(間隙3を形成する部分)とから成っており、掛止杆8とその挿入部分を有するものであることが認められるのに対し、本件考案においては、掛止杆を必要としていないから、細幅帯状片2、3に掛止杆の挿入部分を有するものでない。
4 審判甲第2号証記載の考案との組合せについて
(1) 甲第4号証によれば、審判甲第1号証記載の考案において、フォルダー本体1の表側面と裏側面において保持具2の止着(溶着)の位置はフォルダー本体1の上縁からある程度内側に入った個所ではあるが、保持具2がフォルダー本体1の表側面と裏側面の周辺で重なっていること、止着(溶着)個所がその重なった範囲の中にあり、止着により見出体取付用レール状部が両側に形成されていることが認められるから、止着(溶着)個所はフォルダー本体1の周辺縁の範疇にあると認めるべきである。
他方、甲第5号証によって認められる審判甲第2号証の記載と図2、図3の図示(別紙審判甲第2号証図面参照)によれば、「見出し付き仕切り」との名称の考案において、掛止杆やその挿入部分を有しない仕切り本体1の周辺縁(仕切本体に重ね片が重なった範囲)において片側ではあるが見出体(見出し2)をスライド可能に取り付けるために見出体取付用レール状部(袋部4)を設けた構造が認められるばかりでなく、これを設けるために重ね片3の上縁部が仕切り本体1の上縁付近で止着されていることも認められる。
(2) 前記3の(1)において説示したとおり、審判甲第1号証にはフォルダー本体の周辺縁の両側に見出体取付用レール状部を形成した構造が認められるので、審判甲第1号証と審判甲第2号証の記載及び図示に共に接した当業者であれば、掛止杆やその挿入部分を有しない仕切り本体(フォルダー本体)の周辺縁の両側に見出体取付用レール状部が設けられた構造を極めて容易に着想することができるというべきであり、そのような構造が、審判甲第1号証に記載された「フォルダー本体1の周辺縁の表側面と裏側面に保持具2を重ね配して、表側面と裏側面の周辺縁にて止着(溶着)することにより両側に見出体取付用レール状部を形成する」ことによって製造し得ることも当業者にとって明らかであり、審判甲第2号証の止着個所からみて掛止杆やその挿入部分を有しない仕切り(フォルダー本体)であれば、止着個所をその上縁付近とすることは自然のことであるというべきである。
(3) なるほど、審判甲第1号証記載の考案においては、前記のとおり、保持具2に見出体取付用レール状部を設けるとともに掛止杆8の挿入部分を更に有しなければならないから、その点では本件考案と相違し、審判甲第1号証記載の考案のみとの対比においては、「保持具2をフォルダー本体1に止着する個所を、内側に入った個所(間歇的連続透孔9の個所)からフォルダー本体1の上縁に移動させる技術的な動機付けも認められない。」とした審決の認定も是認し得る点がないではないが、審判甲第1号証についてした審決のこの認定は、審判甲第1号証と審判甲第2号証の記載及び図示に共に接する場合に関する当業者の上記着想の妨げとなるものではない。
5 小結
以上説示したところによれば、審決は審判甲第1号証及び第2号証記載の考案の組合せに関して本件考案が極めて容易に推考することができないと誤って判断したものということができ、取り消されるべきである。
第6結論
以上のとおり、原告主張の審決取消事由は理由があり、原告の請求は認容されるべきである。
(裁判長裁判官 永井紀昭 裁判官 塩月秀平 裁判官 橋本英史)
<以下省略>